田宮智美の歌

田宮智美の歌3 死ぬのかと思う職場を出た後の透明さにて街を歩けば/『にず』

手に取ったお菓子の数やコーヒーの濃さも診断材料めいて 97 心療内科のようなところなのだろう。リラックスさせるために出されるお菓子やコーヒーも「診断材料めいて」警戒してしまう感じは想像できるし、実際にその場のすべては診断材料にもなるんだと思う…

田宮智美の歌2 仮住まいだと思うから暮らせてる 繋ぎと思って仕事もできてる/『にず』

「仮」の感覚。 いま日本で暮らしている一定層の人はこの「仮」の感覚のなかで暮らして(暮らせて)いるのではないだろうか。賃貸アパートで、非正規として、じりじりと年を取り、いつの間にか「仮」とはいえない年月を重ねていく。とてもこわいことだと思う…

田宮智美の歌1 「死にたい」と隣りで笑う同僚に「えー」と笑うキー叩きつつ/『にず』

この歌について「ランリッツ・ファイブ」の座談会で私は、 美南さんが、文体でも「大丈夫」って言っちゃてるって書いてて、田宮さんの文体って本当に淡々としてて、それこそさっきの歌の、ガラスに映ったふつうの人の文体をしてるんですよね。だけど、中身は…